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2014年09月

「パートナー法ネット活動報告会2014」のご報告

 2014年8月30日、中野ゼロにおいて、パートナー法ネットの活動報告会を開催いたしましたので、ご報告申し上げます。
 

【第1部】 年間活動報告

 パートナー法ネットの運営スタッフより、過去1年間の活動概要を紹介いたしました。主な内容は以下のとおりです。

  • この間、自民党の有志議員との親睦会や勉強会を積み重ね、そもそもLGBTとは、から始めて、レズビアン・ゲイはどのような日常生活を送っているのかといった議員の素朴な問題関心にも応えながら、地道に信頼関係を築きつつある。今後、LGBTの子を持つ親の方々にお出でいただき勉強会を開催する予定である。
  • 国連の自由権規約委員会に対し、共同代表の谷口が、同性カップルが①公営住宅サービスと②DV法(「配偶者暴力防止法」)の対象外である問題について、他団体とも協力しながらロビイングしたところ、同委員会は日本政府に対し、同性カップルは公営住宅の入居許可が受けられること、また、DVにおいて、法律で保護すべき対象に含むこと、と、具体的な勧告を出した
  • 共同代表の大江が全国青年司法書士協議会や日本弁護士連合会の勉強会に講師として呼ばれ話をする等、法律専門職の間でも関心が高まりつつある。また、外資系金融機関における勉強会、東京国際レズビアン&ゲイ映画祭における朗読劇「8~エイト」のアフタートーク、学術会議シンポジウム等にも参加・関与し、4月のパレードではブースを出展したところ、用意したチラシが全てなくなるほどの反響があった。

【第2部】 パートナー法ネットが提案する法案の概要紹介

 共同代表の谷口より、特別配偶者法(同性パートナーシップ法)の法案骨子をご説明し、同性婚法制研究の第一人者である渡邊泰彦先生(京都産業大学教授)よりコメントをいただきました。

 現行の民法では同性婚は認められていません。同性カップルにも現行民法の婚姻を適用できるように法改正するという方法もありますが、男性18歳、女性16歳の婚姻適齢、女性の待婚期間等同性カップルにはそのまま適用できない規定がありますし、夫婦同姓を望む同性カップルは多くないであろうと予想されます。

 また、同性カップルの場合、双方と血縁関係のある子を持つことは生物学的に不可能なので、嫡出推定等親子法制は別の制度を考える必要がありますそこで、現行民法の婚姻とは別の法制度として同性パートナーシップ制度を構築しようとするのが特別配偶者法です。

 特別配偶者法は、DV防止法等を参考にして特別配偶者を「事実上婚姻関係と同様の事情にある同性の相手方」と定義し、婚姻適齢は成人、待婚期間無し、同氏別氏選択可能、とする他は、現行民法の婚姻の要件・効果を概ね踏襲しています。

 また、民法の相続編、社会保障法、税法、入管法等、諸法令において「配偶者」に適用される規定は「特別配偶者」にも適用されると規定することで、相続、税金、年金、健康保険、在留資格等において、同性カップルにも異性カップルと同様の保障を得ることができます。

 特別配偶者法の制定は法律上のみならず法律外においても社会的な意味があります。社会の実態としては異性の夫婦と同様の関係にある同性カップルが多数存在するにも関わらず、現在の法律には同性どうしの関係性は何ら規定されていません。異性カップルは結婚することで社会的に夫婦として承認され、法的に認められた間柄として取り扱われるようになります。特別配偶者法によって同性パートナーが法的位置づけを獲得すれば、社会的にも同性パートナーとして承認され、法的に認められた間柄として取り扱われるようになるでしょう。

 今後、特別配偶者法の具体的な条文を作成していきたいと思いますが、その際には、立法に習熟した専門家のアドバイスも得て、法律文言の調整や他の法律との整合性の検討が必要になります。さらに、子育てをしているレズビアンカップルが実際に多数いらっしゃいますし、里親、養子縁組等によって子育てをしたいという同性カップルの声があることを踏まえて、同性カップルの親子法制についても検討していきたいと考えています。

 以上が谷口の発表の概要であり、これを受けて、渡邊教授からコメントをいただきました。

<渡邊教授からのコメント>
 多岐にわたる含蓄のあるコメントでしたが、主なものをご紹介すると、次のとおりです。

  • 同性カップルにも異性カップルと同じ婚姻法を適用するという立法と、異性間の婚姻とは別に同性パートナーシップ制度を立法する方法があるが、現在では世界的には前者が主流になっている。
  • 海外では、婚姻とは異なる同性パートナーシップ制度は婚姻に劣後する二流の制度であるという議論がある。
  • 日本の婚姻は要件も簡単(婚姻届のみ)で権利義務も軽い(協議離婚できる等)が、海外では婚姻がとても「重い」制度になっている国がある。例えば、ヨーロッパで婚姻とは別の同性パートナーシップ制度を採用している国では、登録手続きを簡素にすることで婚姻との違いを出したりしているが、日本の場合、婚姻と同性パートナーシップ制度の違いをどこで出すことになるのかという問題があろう。
  • 異性間の内縁関係にも適用のある社会保障法は、同性カップルであっても現行法の解釈で適用できるのではないか。
  • 同性カップルと子の問題について、同性カップルの養育能力については異性カップルに比べて問題がないという欧米の研究があり、社会的なスティグマが生じないかという問題についても子への愛情でカバーできるとされている。ドイツでは同性カップルの8分の1は子育てをしており、日本でも、里親、養子縁組、生殖補助医療の活用の是非等、議論をしていく必要があろう。

【Q&Aセッション】

 その後、質疑応答に移りましたが、参加者の皆さんからは、法案の実現のためには何をすべきなのか、世論作りのために自分たちには何ができるのか等、前向きなご質問を多数いただきました。

 また、特別配偶者法を異性間にも適用する法律にしないのかというご質問もありましたが、谷口からは、異性カップルの場合、内縁関係にあるカップルにも適用が認められている法律があるので、同性カップルと同じ法律で規定するのが技術的に難しいとご説明申し上げました。

 皆さまからいただいたご意見をも踏まえて、パートナー法ネットでは特別配偶者法の実現に向けて一層努力していきたいと考えております。また、広報媒体物のデザイン制作、ロビー活動、ウエブサイトの更新&構築、広報活動、寄付等、皆さまに合った方法でパートナー法ネットの活動にご協力いただければ幸いです。ご関心がある方は、下記のメールアドレスまでご連絡くださいませ。

info@partnershiplawjapan.org

今後ともご支援の程よろしくお願い申し上げます。
 

ご報告   2014/09/28   事務局